2.9)ボラティリティ
「①オプションとは何か」で取り上げた例に基づいて説明します。
例:IBM2010年6月限125コール@4.50ドル
9)ボラティリティ
「ボラティリティ」は英語のvolatilityで変動率と訳されます。これはとても大切な概念なので英語(カタナカ)で"ボラティリティ"と呼ぶことにします。
なぜ大切な概念かというとプレミアム(=オプション価格)が割高や割安を示唆し、ボラティリティがプレミアムの上昇・下落に影響を与えるからです。
ボラティリティには基本的に2つの種類があり、
一つは「インプライドボラティリティ」(Implied Volatility、IV)で、
もう一つは「ヒストリカルボラティリティ」(Historical Volatility、HV)です。
前者は「予想変動率」と訳されていますが、これも英語(カタカナ)の方が概念上わかり易く都合がいいのでそのまま英語で呼ぶことにします。
また、オプション価格のメカニズムからいってプレミアムに影響を与えるのはインプライドボラティリティです。これは市場参加者の将来原資産の変動の大きさに対する期待を反映した数字です。
後者のヒストリカルボラティリティは市場参加者の期待ではなく、過去における原資産の"実際"の変動の大きさを表したものです。"現実"の変動の大きさですが、過去の期間の取り方によって数字に違いが出ます。
例えば、過去1ヶ月間の原資産価格の変動を基にしたヒストリカルボラティリティと過去3ヶ月を基にしたヒストリカルボラティリティには当然ながら違いがあります。
以下のチャートはIBM(米株式銘柄)のボラティリティチャートです。
(ソース:ivolatility.com)
上記のチャートの黄金色のラインがIVで青色のラインがHVを表しています。
IVには次の特徴があります。
①一定のレンジの中を基本的に往来する。
②時々トレンドを形成する。
③銘柄や市場によってIVの水準が大きく異なる。
④プットとコールのIVは異なる。
⑤権利行使価格によってIVが異なる。
⑥限月によってIVが異なる。
⑦多くの銘柄や市場においてIVはときどき急激に増加する一方、下落時は緩やかである。
⑧個別株オプションにおいて異常に高いIVが急落する場合がある。
<参考>
オプションの根幹をなしているのは確率統計論である。オプションは、相場が将来どの変動するか全く予知できないということから出発している。将来どう変動するかを確率統計論に求めているのだ。
例えば、今、5、6、7、11、13、15、16、21、24、28、31、34、35、38、41、42、43、44、45、48、50、52、58、61、63、64、67、68、69、70、71、73、74、75、78、81、82、83、85、90という40個の数字があるとしよう。
この数字の散らばり具合を整理するためにどのような技法を用いるだろか。これら40個の数字を株価変動の範囲と考えても、あるいは、あるクラス40人の数学の点数と考えてもいい。これらの数字の意味するところを探るために、まず、平均値を算出する。平均値はこれらの数字を全て足し合わせて40(個数)で割る。49.025が平均値である。
次に、それぞれの数字と平均値がどれだけ離れているかを調べまる。それぞれの数字から平均値を引き算して求めることができるが、計算上不便なことが生じる。それは、マイナスとプラスの数字が出るということだ。マイナスの数字を打ち消すために、ここでは、便宜上、それぞれの数字から平均値を引いた価を2乗(平方)する。なぜなら、マイナスの数字の2乗はプラスになるからである。例えば、44-49.025=-5.025。この2乗は+25.25。
それでは、平均値との差の2乗をそれぞれの数字について求め、さらにそれらを足し合わせて、その平均を求めてみよう。答えは626.7744。これは2乗した数字の平均なので、その平方根を求める。平方根とは2乗してその数字になるものである。例えば、4の平方根は2である。626.7744の平方根は25.04(少数点第3位以下四捨五入)である。実は、これは標準偏差なのだ。(日本の受験教育の中で「偏差値」と教えられてきたものだ。余談ながら。)これは数字の散らばりの度合いを測るモノサシである。
25.04は1標準偏差(これを1シグマという)である。平均値が49.025なので、1シグマの数値を足し引きすると、23.99~74.07の中に全体の68%が収まるということを意味する。逆にいえば、この範囲の外になるものは全体の32%ということになる。上記40個の数字を株価に例えるなら、株価が74.07ドルを越える確率は16%である。2シグマでは全体の約95%をカバーする。つまり、上記の例では全部を2シグマ(=25.04×2=50.08)でカバーしてしまうわけだ。
さて、このシグマ(標準偏差)とオプションがどのように関係するのだろう。実はこの「標準偏差」とはオプションにおけるボラティリティなのだ。標準偏差が大きいとボラティリティが高く、反対に、標準偏差が小さいとボラティリティが低い。これはリスクの測るモノサシにも使われている。オプション取引の実践家はこのような理論は知る必要はないかもしれないが、ボラティリティの概念を理解するには便利である。
参考まで、上記グラフは正規分布(Normal Distribution)を表わしている。これは3を平均値として1シグマが2の左右対照のグラフだ。
このグラフの3を上記例の49.025、1シグマを25.04として考えてほしい。上記グラフでは1と3の間の面積が全体の約68%を占めます。実際のオプションの世界では、このようなきれいな正規分布にはならないことを記しておきたい。
ボラティリティ
変動率=標準偏差
=オプション価値を決める重要な要素の一つ
=「期待度」
*オプションは相場どう変動するか予測不可能であることを前提にしている。
変動の大きさの「期待度」を重視している。
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投資戦略記事一覧
1.オプションとは何か
2.オプションを取引するために初めに覚えるべき最小限の知識
1)原資産
2)限月
3)権利行使価格
4)コール/プット
5)プレミアム
6)原資産の現在の価格(株価)と権利行使価格との関係
7)時間価値と本質的価値
8)タイムディケイ
9)ボラティリティ
10)ギリシャ文字
11)ブラックショールズ・モデル
3.なぜオプションか
4.オプションを使ってどうやって利益をあげるのか
5.オプション市場におけるもう一つの隠れた相場
6.オプションとは何か、再び
7.さらに詳しく知りたい方への特別無料プレゼント
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